2018-03-01

欧州で広まるディーゼル禁止論と増えるPHEV、一方で日本は周回遅れ ~そこで考える今後のお買い得モデル~

先日ネタにした、ドイツ週刊誌シュピーゲルが報じたBMWディーゼルスキャンダルをまるで素人のように流用しつつ断定的に報じた時事通信社。
よくよく考えたら、名高い俳人の方が亡くなられる前に誤った訃報を出したどうしようもないメディアでしたね。
そのミスで分かる通り裏も取らずに拙速にリリースするようなメディアなわけで、その質は高々知れているとも言えます。

しかしその一方で、フランス・イギリスに次いであのドイツまでもがディーゼル禁止に向けて動き出してしまったようです。
自動車大国でありEUの中心ともいえるドイツがそう動くとなると、もはや看過すべきではないような気がします。



これに気づいたのは、そのシュピーゲルのオンラインサイトを見ていた時のことなんですよね。
つまり、BMWのそれがどう報じられているかこの目で実際に確かめようと見ていたときに、そんなタイトルが目に入ってきたんです。

連邦行政裁判所は、地方自治体が運転禁止を課すことを可能にする。何百万人ものドライバーが影響を受ける可能性があります。それはそれに来るかもしれない、彼らはまた前の交通大臣Dobrindtに借りている。(Google翻訳より)
Beste Derさんの投稿 2018年2月28日(水)


ガチのドイツ語過ぎて、Google翻訳では日本語的に意味不明に感じるところも多々あり。
(英和翻訳や独英翻訳はいいのですが、独日翻訳はイマイチ。。)

そんなわけで、日本語の記事がないか探したらありました!



ざっくり言うと、連邦行政裁判所(日本の最高裁判所に当たる)が市中心部へのディーゼル車乗り入れ禁止を実質的に支持したことというもの。
そのための規制を新たに作るわけではないものの、都市部の環境改善のために必要な措置、例えば市街地へのディーゼル車の乗り入れ禁止措置などをする義務が自治体にあると公式に判断したものです。
これにより、約70の自治体が対応を迫られ、ユーロ5を含む1千万台以上のディーゼル車(LCI前のF30/F31 320dもこれに該当orz)がその影響を受けるとされています。

う~ん、、
まさか、イギリスとフランスだけでなく、EUの中でも経済的にも自動車的にも(産業面・文化面含め)存在が大きいドイツがこうなってくると、脱ディーゼルの流れは急速に加速しそうですね。


その一方で一足お先にグッバイ内燃機関を宣言したフランスでは、プラグインハイブリッドを含むEVが売上を伸ばしてきているようです。



BEVはBattery Electric Vehicleで電気自動車を意味し、PHEVはPlug in Hybrid Electric Vehicleでプラグインハイブリッドを意味します。
上のグラフは、フランスにおけるこれらの売り上げに関する実績を表したものです。

季節変動があるにせよ、近似曲線としてみた場合おおむね右肩上がりなのが見て取れるかと思います。
特に、PHEVはEVに本格シフトする前の大本命なわけですが、そちらは売上げを順調に伸ばしてきているようで、その道のりは概ね計画通りといったところでしょう。

つまり、EVシフト最前線のフランスでは、数字としてそれらがすでに表れ始めてきていると言えるのではないでしょうか。


また、ディーゼルスキャンダルでBMWを叩いているシュピーゲルも、EVの記事では積極的にBMWを起用し、しかも肯定的に報じているように見えます。

寒くなると、電気自動車のレンジが激減します。そして、あなたが熱くなるほど、あなたは得ることが少なくなります。マイケル・スペックは、冷たい指でもBMW i3をあきらめたくありません。(Google翻訳より)
Beste Derさんの投稿 2018年2月28日(水)

この記事は、冬季の間BMW i3でどう過ごすか的なことが書かれているようで、それは決して否定的な内容でないように見受けられます。
他にPHEVを勧めるような記事も書かれていますが、そのページのトップに使われている画像はBMW X5 xDrive40e(X5のプラグインハイブリッドモデル)なんですよね。

ですので、シュピーゲルは決してBMWが嫌いなわけではなく、純粋にディーゼルを嫌っているように見えます。
当初はBMWを貶めようとしているのかな~って邪推していたのですが、シュピーゲルのオンラインサイトを見る限りどうもそうとも思えず。
この点、海外のメディアは単なる個別攻撃に終わらずにそれなりのポリシーを持って報道に当たっているように見え、その姿勢は好感が持てます。(反面、日本は節操なく叩くだけのマズゴミが多いですが。)

まあでも、なんとな~くアンチディーゼルにまつわる色々なが働いているような気がしなくもないわけですが。。


話しを戻しますが、そんなこんなでディーゼルへの逆風が強まっている欧州。
ドイツのこの一連の出来事は、もしかしたらディーゼル崩壊の決定打になるのかもしれません。

で、そうなるとドイツのみならず欧州諸国でディーゼル車は決定的な打撃を受けるのかもしれませんね。
しかしやっぱり、ここまで投資してきたディーゼルエンジンをすぐに捨て去るのはもったいない、各メーカーはそう思うことでしょう。

そうなったときに、受け容れてもらえる国はどこか。

アメリカのみならず中国までもがEVにシフトしてきているわけで、それらの国に今さらディーゼルを持ち込んでも売れそうにないですよね。
そもそもディーゼルスキャンダルの発火点はアメリカですし。

一方で日本はというと、(あくまで一般的なレベルの話しですが)欧州ディーゼルがラインナップ面でも販売台数でも増えてきており、海外のことなどもともと気にしないガラパゴス気質も相まって今後もそれが続くように思われるわけで。

そうなると必然的に欧州勢は、日本ではディーゼル販売に注力するように思います。
また、(表現は悪いですが)新たな開発や投資をせずに既存のディーゼルエンジンを積むだけで日本で売ることができますので、収益効率も良くなるわけで。
自国のみならず日本以外の他国で売れないエンジンを手を加えることなく捌けたら、そりゃいいですよね。

最近あった出来事に照らし合わせれば、ようやくVWも長年の念願かなってクリーンディーゼルであるTDIを日本で販売することができるようになりましたが、アウディもこれに続くのは間違いなく。
アウディがTDIを入れようと思って断念したのが確か2009~2010年頃でしたので、足掛け10年近くたってようやく実現の運びとなったわけですが。
これで、メルセデスベンツ・BMW・アウディ・VWといった主要な欧州メーカーでディーゼルがすべて揃い、これから日本の欧州車市場では本格的にディーゼルが席巻してくるように感じています。
最近またガソリン価格が上がっていますし、おそらくこの傾向は今後も続くと思いますので。

そのころドイツ本国ではディーゼル車終わりの始まりになるかもしれないということに見舞われているわけで、もはやディーゼル車は欧州のみならず世界から駆逐され始めているように見えなくもなく。
皮肉というかなんというか、日本ってやっぱり世界とは違うんだなと改めて感じた次第です。


一方、日本のEV事情。
こと、欧州車のプラグインハイブリッドモデルですが。

どれもこれも、中古車・新古車を見てみると元値崩壊(笑)
ざっと調べてみると、
  • BMW 2シリーズアクティブツアラー 225xe・・・268万円~409万円(新車:523~544万円)
  • BMW 3シリーズセダン 330e・・・264~479万円(新車:610~680万円)
  • メルセデスベンツ Cクラスセダン C350e・・・339~518万円(新車:726万円)
  • メルセデスベンツ Cクラスワゴン C350e・・・428~638万円(新車:803万円)
  • アウディ A3 e-tron・・・278~478万円(新車:564万円)
  • VW ゴルフ GTE・・・228~358万円(新車:469万円)
  • VW パサート GTE・・・379~456万円(新車:528~588万円)
  • VW パサートヴァリアント GTE・・・418~459万円(新車:548~608万円)
(2018/03/01時点 価格.com調べ)

といった感じでした。
パサートはまだ値を保っていますが、ほかはことごとく凄まじく崩壊ですね。

パサート以外すべて半値ほどになっていますし、モノによっては6割引き。
しかも、ざっと見た限り高年式な上に走行距離が少ない個体がほとんどで、単に需給的な理由で全体的に価格が低くなっているようです。


これ見て思ったのは、なんてお買い得なんだ!です(笑)
いや~、これほど魅力的な逆張り先行投資はありません。

だって、今ようやくディーゼルが隆盛となってきた日本って、完全に欧州の後追いですから。
歴史は繰り返すじゃないですが、欧州が向こう数年内にEVシフトした後、日本はその後を追うことになるはず。
要するにディーゼルで起こったことと同じことが起こると予想しているわけですが、これは大きな流れとしての可能性はかなり高いと思っています。

つまり、EV(PHEV)が日本で不人気なんだけど、もう少しでEVシフトの大波が来るなってタイミングで購入できれば、逆張りで青田買いが出来ると踏んでいます。

そういう意味では価格が需給に左右される中古車や新古車って、投資対象として面白いんですよね。
新車じゃ値引きに限界がありますから。
私が中古車に感じる魅力の一つに、それがあったりします。


といった訳で、個人的にPHEV辺りが次期候補かなって思っています。
EVだと、まだ充電施設や使い勝手面で不安があるので。

そんなこんなで、xDriveになるらしい次期3シリーズ(G20)のプラグインハイブリッドモデルやもう数ヶ月で日本に上陸するであろう225xeのLCIモデルなんか、実はちゃっかり狙っていたりします。
もちろん、それ以外に車種が充実してくれば、それらが対象になってくるのは言うまでもありませんが。



・・・といったところで。
久々、妄想全開なネタでした。

んでは!





2 件のコメント :

  1. Der Beste!さん、こんにちは。
    内燃機関車はエンジンを、EVはバッテリーを買うものだという記事を見たことがあります。確かに言い得て妙で、バッテリーがリチウムイオンである限り、EVはテスラSやXのやり方、つまり詰めるだけ大容量のバッテリーにして、通常利用はその一部のみを使うというもの。小さい容量でほぼ全部を日常的に使い切る使い方は、バッテリーの寿命を極端に縮め、結局生涯コストが高くなるという考え方です。
    テスラSやXを買うとなると最初にアホみたいにお金を積んでバッテリーを買わなければならないし、リーフなど買うと補償でも無ければ数年でバッテリーを買い換えとなる…。乗り換えればいいじゃんかという話ではないんですよね。
    バッテリーのイカれたEVはエンジンのイカれたエンジン車と同じ。下取りなんぞ値が付きません。
    果たして急速にEVに移行するのは本当に是なのか、数年後バッテリーの残骸が巷に溢れないのか、やはり問題を解決しながら緩やかに変わっていくのが良いのだろうなと、個人的には思います。

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    1. こんばんは♪
      なるほど、確かにそうですね。EVはモーターではなくバッテリーが肝ですよね。しかも、多く積んだら積んだで重量が重くなり、電費も性能も落ちるというジレンマもありますし。
      でも、バッテリーのブレイクスルーも近いようにも思っています。というのも、全固体電池が着々と市販化に向けて各社で揃ってきつつあるですので。もっとも、初期のものは相応に不具合があったり想定外の事態が起きたりなどあるのでしょうが、必要は発明の母という言葉の通りあっという間にLi-ionに置き換わってくると思います。
      そうなったときに、市場がどうなっているのか?な~んて思いながら、起こした記事だったりします。
      個人的には、全固体電池を積んだPHEVがいいな~って思っています。そうすればおそらく、満充電航続距離がJC08でも100km超え、実用でも60~70km程度はいくと思われ、普段ちょい乗りばかりの私にとっては願ったり叶ったりというわけで。
      と、好き勝手に妄想していますが。実際どうなるかは、神のみぞ知るってところですかね~。政治的なり経済的なりのショックで、一瞬で情勢が変わるなんてこともなくもないですからね。

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