2015-06-04

【オイル減り本当のまとめ②】どうやってオイル過消費に陥るのか?そのプロセスを考えてみる。

前回の続きです。
もう4回ほど、続編を書きますが。

で、前回はオイル過消費の原因特定のお話でしたね。
では、そこに至るまでの一般的なプロセスはどうか?
これについても考えてみましょう。


まずもって、直噴エンジンはカーボンが発生しやすいと言われます。
それは、燃焼室に直接燃料を噴射するため、ポート噴射と比べて気化されずに残っている燃料(霧化状態の物)が多いためです。
すなわち、厳密には液体状態である霧化燃料の芯の部分が燃え残り、これが高温・高圧化でカーボン化してしまうってことなんですよね。

特に、低温始動時やチョイ乗りといったエンジンがあまり暖まっていない状態では燃料がより気化しにくくなるためにカーボンが多く発生しますし、加速時や登坂時などの高負荷時は燃料噴射量が増えてこれまた完全気化が難しくなってカーボンが多く発生しやすい状況になるようです。
それでも、平均速度が高めでノンストップで走り続けられるような環境でしたら、発生したカーボンを焼き切ってマフラーから排出させることができますが、そうでない場合にはカーボンは堆積していきますよね。

また、このカーボンが発生しやすい環境では、ほぼ同時に起こっていることがあります。
それは、ブローバイ(未燃焼ガス)の発生ですね。
これについては、後で触れますね。

話しを戻します。

発生したカーボンは、オイルが回収して浄化してくれるのですが、それにも限界があります。
にもかかわらず、アウディの純正ロングライフオイルの交換サイクルは2年以内又は3万km以内なわけで(固定で1年 or 15,000kmってのもありますが)。
これ、ロングライフといえどもシビアコンディションでは厳しい気がします。
この交換サイクルは3年(50,000km)ないし5年(80,000km)といった、保証期間中に問題が出ないようにはなっているものと思われますが、それらを超えるとどうかといったらかなり難しそうな気が(汗
保証がある場合、メーカー指定の年数・距離でディーラーにてオイル交換せざるを得ないので、逃げようがないのがアレですが。。

また話がそれましたね。
戻します。

オイルの浄化作用が低下した結果、カーボンの堆積がさらに増えてしまいます。
そうなると心配なのが、インテークバルブへのカーボン付着。
これはもう、言うまでもなく直噴エンジンの弱点ですよね。

オーバーラップによる巻き返しでカーボンが付着しますし、ブローバイの還流によってそれに含まれている油分もカーボンの発生源になりますから。

ポート噴射ではそれが燃料(ガソリン)によって洗われるので心配ありませんが、直噴の場合はそのまま汚れっぱなしになるわけで。
 

そして、インテークバルブにカーボンが付着すると、正常な混合気の生成に支障をきたすはずです。
混合割合はECUで調整されるにしても、スワール(渦流)までは調整できないでしょう。
結果、燃焼室内での燃料の気化に最適な環境でなくなってしまいます。

また、それと同時進行で起こる可能性があるのが、インジェクターの詰りかなと考えています。
カーボンまみれの燃焼室にニョキッと出ているものですから、可能性としてはあるわけで。
ここにカーボンが付着すると、燃料噴射が予定されていた方向に向かない可能性もあり、そうなるとスワール(渦流)との混合に支障をきたすでしょう。
その後のプロセスは、先に同じですね。


結局それらが起こると、徐々にピストンリングへも影響が出てくると思います。
ピストンクリアランスが大きめで問題なのは、実はこれなんです。
発生したカーボンが、トップリング(ファーストリング)から下に抜けやすいので。

そうなると、セカンドリングやオイルリングもカーボンに浸食されてきます。
 

元々のピストンクリアランスの大きさに加えて、カーボンでコンプレッションリング(トップ&セカンド)の動きが鈍くなると、次に問題になるのはブローバイが下抜けし易くなる状態です。
これは、かなり問題でしょう。

そのため、メーカー保証のオイル過消費対策第1弾は、クランク内圧を変化させるべくオイルセパレーターの対策品への交換となるわけです。
ちなみに私のA4は、前オーナーがこれに交換してくれてます。


結局、それらが複合的かつ連鎖的に発生してカーボンをどんどん堆積させ、コンプレッションリングの固着によってピストンクリアランスが過大になる&オイルリングの戻り口が塞がるといったことで、過剰なオイル上がりを生じさせてしまうのでしょう。

その証拠に、オイル超過消費の時のマフラー出口は、数十km走るだけでそれはもう酷いことに。
完全に、ドロッとしている感じからすると、オイルの燃えカスとみて間違いないでしょう。
これ、走行直後だと触った感じもべトッとしています。

また、プラグの電極でもオイルが燃えた後もあります。

余談ですが、マフラー出口とプラグを見れば、オイル消費が激しいかどうかってのが分かったりします。
この辺はまた、別途記事にしますね。

そんなこんなで今回は、アウディやVWのオイル過消費車輌(特にMY2010頃のA4,A5,Q5で2.0TFSI CDNエンジン)のオイル過消費メカニズムを予想してみました。

次回は、そんなオイル過消費をどうやって治すのか、私が実際に行ったことをまとめてみたいと思います。


【オイル減り本当のまとめ③】改めまして対策@保証なしの場合~でも自己責任でお願いします~
に続く。





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