2017-12-08

「フォグランプの誤った使い方」を勝手な解釈で堂々と伝える専門家に対する正面批判記事を書かせて頂きました。

【初稿@2017/12/8 18:15】
【追記@2017/12/9 9:35】

あまりこの手の批判記事を書くのは好ましくないのですが。
目に余るというかなんというか、専門家でありながらツッコミどころ満載な記事を見かけたので、正面から議論させてもらおうと思います。

それは、この記事。


そう、Yahoo!JAPANにも掲載されていたこちらです。



まず初めに、「フォグランプ」についての定義的なものを確かめておきましょうか。

まずは、フロントのフォグランプから。
こちら、法的には『前部霧灯』と名づけられているものです。


前部霧灯は、霧等により視界が制限されている場合において、自動車の前方を照らす照度を増加させ、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして(以下省略)
(独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程 7-67-2, 8-67-2 より)


続いて、リアフォグについて。
こちらは、法的には『後部霧灯』と名付けられているものですね。


後部霧灯は、霧等により視界が制限されている場合において、自動車の後方にある他の交通からの視認性を向上させ、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして(以下省略)
(独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程 7-78-2, 8-78-2 より)


一応、これらを定義としてみなしていいと思います。
法治国家である以上、法令に基づく定義の上に考えるべきですからね。


で、この記事で問題なのはこちらの記述。


基本的にフォグランプは自分の視界を良くするためで無く、他車に自車の存在をアピールするために使うものです。

これ、リアフォグにしか当てはまりませんよね。
それにもかかわらず、フロントフォグに対してもそう解釈しているんですよね。

この方プロなんですから、もう少し個人の感情は抑えて公的な根拠から論ずるべきだと思います。


もっとも、こういう議論ってフォグランプで起こりがちです。
何でそんなに、フォグランプに対してシビアな方が多いんでしょうか。

一つには、記事にもある通り嫌がらせ的リアフォグ点灯、これがあると思います。
これは、法解釈に照らしても霧等で視界が悪くもなく、かつ、後方からの視認性を確保すべき時でもないのにみだりに点けている場合には問題です。
そもそも、近距離で付けること自体めくらましになり、ともすれば事故の誘発につながりかねませんからね。

もう一つには、光軸の調整不良や無駄にグレアを拡散させるHID光源を用いた(フロント)フォグランプの存在。
これについては、そもそも “照射光線が他の交通を妨げない” という規定にも抵触するわけで、それゆえ保安基準不適合なものも相当数あるように思われます。
こちらも先述同様、他のクルマや交通者に対して幻惑による事故誘発の可能性も否定できないわけで。

これら二つは明白な問題であると、私も思います。


その一方で、「霧でもないのに(フロント)フォグランプを点けること」の何がそんなに問題なのでしょうか。
きちんと光軸調整(※1)されたハロゲン又はLEDが光源のもの(一部の粗悪品は除く)であれば、対向車に対して眩しさを与えないようになっているはずですが。

(※1)
ヘッドライトと違って、フォグランプの光軸に関する具体的な照射距離に関する保安基準はないようですが、メーカー純正フォグの光軸調整は、フォグランプ光源中心部までの高さより下側にカットラインが来るように調整するよう整備マニュアル等に記載されています。
これは「照射光線が他の交通を妨げないもの」となるよう、少しでも上に照射光線が飛ばないようにしているためと考えられます。
このように光軸調整してあれば、直接的な照射光線による眩しさで他車を幻惑することは、通常の場合においてはまず無いはずです。


私の場合、夜間は常に(フロント)フォグランプを点灯させています。
その理由ですが、右左折時に歩行者を早期発見するのに有効なケースが結構あるからです。
特に、住宅地を夜間走行する際、曲がり角の先が塀などで死角になっている場合においては、横方向に光が広がる(フロント)フォグランプのおかげで歩行者を早期発見できることが多かったりします。(※2)
その点においては、ヘッドライトだけよりも事故率を減らすことに寄与しているんですよね。
また、雨が降っていなくても雨上がりの濡れた路面などは光が拡散しやすく、フォグランプは補助灯としても役立つわけです。

(※2)
特に、秋から冬にかけての季節は暗めの服装が増えることで、夜間時の歩行者・自転車の発見がより難しくなります。
実際にフォグランプを活用する前にあった体験ですが、街灯が少ない場所で黒いコートを着た人が曲がり角の先にいたときに気付くのが遅れ、ヒヤッとしたことがありました。
それ以来、夜間はフォグランプを常時点灯することにしたのですが、先日ほぼ同じシチュエーションがあった際、以前と比べて早めに気づくことができてその効果を実感した次第です。


この専門家の方といい、そこかしこと見かけるアンチ・フォグランパーといい、まるで知識を自慢したいがために『フォグランプは霧の時にだけ点けるもの』と声高らかに言っているように見えるわけですが。
それに拘ったがために、歩行者の発見が遅れたりして事故につながることがあったら?

専門家だったりクルマ好きを自称するのであれば、交通事故を少しでも減らすためにどうすべきかという視点でまずは考えるべきなんじゃないでしょうか。
そう考えると、「フォグ=霧」と単純翻訳的な考えから『霧以外では使うやつは悪』みたいな内容を専門家の方から大々的に発信されてしまったのは、とても残念です。


そんなわけで、久しぶりに真正面からの批判記事を書かせてもらいました。
『交通事故を減らすことより知識自慢』みたいな専門家やクルマ好きが減り、交通安全に少しでも寄与しようという意思を持つ方が増えることを心より願っております。


んでは!





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