2017-07-13

新型アウディA8の各種新機能は本当に先進なのか ~レベル3自動運転は四捨五入?~

先進機能満載な、新型アウディA8。
それはそれで素晴らしいことなのですが、その表現の仕方(宣伝方法)に若干違和感を覚えるものが多いのも事実。

少し、考察してみたいと思います。



◆48V MHEV
これは、市販車では確かに世界初ですね。
とは言っても元々A4で搭載させる予定だったものですが、開発期間が延びたのか資本回収のし易さなのか目新しさを目立たせるためなのか、A8に載せてきましたね。
世界初なのは世界初なんですけど、1~2年もすればDセグメントでも装備されるのが出てきます(次期3シリーズとCクラスFL辺り)。



◆ワイヤレスチャージ
これも世界初。
ソケットにプラグを差し込む手間がかからないのはいいですよね。
このステーション的な装置の値段も気になりますが、それ以上に耐久性や強度面でどうなのかなってのがさらに気になったりします。



◆アクティブサスペンション
言うなれば、メルセデスのSクラスが既に装備しているマジックボディコントロールを、48Vシステムのモーターでより精緻に動かせるようにしましたよってやつですね。
というわけで、残念ながら世界初ではないわけです。

また、側面からの衝突時にぶつけられる側のダンパーが伸びて車高を数センチ上げることでボディのより強い部分で衝撃を受け止めるとありますが、横転リスクはむしろ高まるように思うのは私だけでしょうか。。
それならEクラスのインパルスサイドのように、エアバッグをいち早く膨らませてくれた方が安心です。



◆アウディAI パーキングパイロット&ガレージパイロット
これは完全にEクラスの後追いですよね。
日本では法規の壁に阻まれて未だ導入されていないようですが、これとほぼ同じ機能は既にEセグメントであるEクラスに導入済みなわけで、しかもスマホで操作するところなんてほぼほぼ同じじゃないですか。
まあハンドルが介入する点は良いんでしょうけど、作動範囲がそれほど広いとは思えませんので、目新しさはないですね。



◆アウディAI トラフィックジャムアシスト
これ、自動運転レベル3って言ってますけど、単に定義に該当しているってだけで実用性では難ありですよね?
まずもって、時速60km/h以下で中央分離帯で区切られた高速道路(自動車専用道路)でのみ作動って時点で、そもそも高速道路の渋滞時に運転手が多少楽できるってだけのシステムでしかないような気がします。

また、そもそも自動運転レベル3って謳っているのにも違和感があるんですよね。
自動運転レベル3が実用に耐え得るレベルで運用するには、スタンドアロンのセンサー類とAIだけでなく、通信機能を介して他の車や道路情報と常に情報のやり取りも必要なはずですから。

以前も書いたと思いますが、私たちが運転するときって、数台先を読みつつ記憶と経験則に照らし合わせつつ運転しますよね。
例えば通学路なら時間帯によっては子どもが飛び出してくることを予測しますし、後ろの車の車間距離が詰め気味でせっかちそうな運転をしているのであれば自車は前車との車間距離を広く取ってブレーキやウインカーの合図を早めにして追突されないようにするとか、そういった感じで複合的に情報を突合せながら判断するはずです。
つまるところ、周囲の状況に関する中短期の記憶と長期的な記憶から来る経験則を織り交ぜながら、最終確認として視覚や聴覚で得た情報を元に運転動作に移るわけで。

今のアウディAIですと、この最終確認の部分しか備わっておらず、言ってみれば記憶や経験則を補うものがない状態なんですよね。

で、それらを補うためにIoTなどの通信機能が必要になるんですよ。
具体的には、道路情報・渋滞情報・気象情報などのインフラ的なデータと、各車両から発せられる運行情報をいったんクラウドなどで吸い上げ、そこから必要な情報を取得して車両に備わったAIで解析して運転の判断に活かすといった使い方で、人間の思考回路を補うもしくはそれ以上の働きが可能になるわけで。
さらに言えば、それらのデータ数は一定量必要になるわけですが、その前提としてインフラの整備や法制度の整理のみならず、ある程度IoT化された(コネクティビティのある)車が相当数走っていないと実現できないんですよね。

と、話が長くなりましたが、いくら優れたデバイスを備えて優秀なプロセッサで秀逸なアルゴリズムを有していたとて、スタンドアロンである限り実用的なレベル3は無理だと思います。
なので、現時点のアウディAIはレベル2.5というのが持論です。
まあ、四捨五入すれば3と言えば3なので、あながち間違いじゃないんですけど、なにか言葉というか数字というかを独り歩きさせようとしているアウディのこの広告手法に違和感は覚えますね。



そんなわけで、先進機能の多くがメルセデスの後追い感たっぷりに思います。
なので、何かこうアウディの宣伝方法が大袈裟というか、言っているほどじゃないんじゃないかって気がするんですよね~。
勝手にメディアがはやし立てているだけなのかもしれませんけど(笑)

そんなこんなで、個人的に新型A8で評価できるのはデジタルガジェット化された内装ですかね。
コンピテンシー(一貫性)という点ではダメとも言えますが、単品で見れば素直にセンスがいいなと思います。


というわけで、私がもしこのセグメントを買うのであれば、SクラスのFLにしますw
いや、冗談抜きでマジメに。

んでは!





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