2015-01-31

ようやく理解できてきた欧州の自動車環境規制を適当にまとめてみた

ず~~っと気になっていた、ヨーロッパの自動車環境規制。
ちょっとずつ勉強し、ようやく理解できてきました~。

実はこれ、2本立てな感じになっていて、一つは大気汚染物質(CO, NOx, PM等)の排出に対する「ユーロ規制」、もう一つは温暖化対策であるCO2排出量を定めた「エミッション規制」となっています。

ユーロ規制は個々の車両の上限値として定められるのに対し、エミッション規制はメーカーの販売数や車重などから加重平均してクリアすることが求められる、といった内容になっています。
そして、ユーロ規制はクリアできないと販売できない(日本の継続検査における排ガス検査と同じな感じ)のに対し、エミッション規制はクリアできない場合には課徴金が課されるという仕組みになっているようです。

そんなこんなの規制、適当にまとめてみました~。





✔ユーロ規制

まずは、ユーロ規制から。(・・・特記なき単位は g/km)
階層モデル
適用日
一酸化
炭素
炭化
水素
揮発性
有機化合物
窒素
酸化物
HC+NOx粒子状
物質
粒子数
 [#/km]
ディーゼル車
ユーロ42005年1月0.50--0.250.300.025-
ユーロ5a2009年9月0.50--0.1800.2300.005-
ユーロ5b2011年9月0.50--0.1800.2300.0056×1011
ユーロ62014年9月0.50--0.0800.1700.0056×1011
ガソリン車
ユーロ42005年1月1.00.10-0.08---
ユーロ52009年9月1.00.100.0680.060-0.005*-
ユーロ62014年9月1.00.100.0680.060-0.005*6×1011
 *直噴エンジンのみに適用
(出典:http://en.wikipedia.org/wiki/European_emission_standards
※スマホで見る場合は画面を横にすると見れると思います。


ユーロ4時代、ガソリン直噴エンジンで問題視された粒子状物質(Particulate Matter, PM)ですが、ユーロ5からはしっかりと規制が入っています。
なので、ユーロ5以降のガソリン直噴エンジンはPM排出量がかなり抑えられているはずです。

またクリーンディーゼルについては、ユーロ6になってようやく窒素酸化物(NOx)の排出量が、日本の規制(ポスト新長期規制)でも通用するようになりました。
実は、アウディ・ジャパン(AJ)がQ7 TDIを2010年頃に入れると宣伝していたのにずっこけてしまったのは、これがためです。
その頃はまだクリーン・ディーゼルが日本では全然浸透していなかったので、もしも頑張って入れて上手に展開できていたら、日本におけるクリーン・ディーゼルのパイオニアになれたかもしれないのに。。
悔やまれますが、仕方ありませんね。

裏を返せば、ユーロ6対応のクリーンディーゼルはポスト新長期規制もクリアできていますので、排出ガスに関しては特別の事をしなくても輸入が可能なわけです。

あとはまあ、市場が受け入れるかですが、それは別問題ですので何ともいえませんけどね~。
私は、別にカラカラ言ってもいんじゃね?って感じなのと、トルク感が好きなので、是非ともバンバン入ってきてほしいなと願っております。



✔エミッション規制

お次は、エミッション規制。
コレが何だかよくわからんで、苦戦しておりました。。

先にも書きましたがこのエミッション規制の概要は、1台1台を規制するのではなく、自動車メーカーが販売台数や車重に応じ、総合的に目標値をクリアするようにするような仕掛けになっているものです。
で、それが出来ない場合には課徴金が課される、ということになります。

乗用車の場合、まずは2015年までに発売される新車について、CO2平均排出量を130g/kmとするように定められています。
なお厳密には、エンジンやシャシーなど自動車メーカーが直接担う部分は130g/km、タイヤやエアコンなどが担う部分が10g/kmとされていますので、車両全体で120g/km以下となるように定められているようです。

さらに、2020年までにそれを95g/km以下にすることが目標とされています。

先述の通り、こちらの規制は、車重による違いが考慮されているのが特徴です。
現時点での算出方法によれば、平均車両重量を1372kgと定めてその車重におけるCO2排出量の目標値を130g/kmとし、それより上であれば車重1kg当たり0.0457g/kmを加算、下であれば車重1kg当たり0.0457g/kmを減算するような仕組みになっています。

例を挙げますと、車重が1800kgであれば149.5g/kmまでCO2平均排出量が許容されるものの、車重が1100kgですとCO2平均排出量の目標値は117.5g/kmと厳しくなります。
これは、小型車のみを製造するメーカーばかりが有利にならないようにするための措置です。

なお、この例はあくまで1車種のみを販売する場合の算定方法ですが、実際は色々な車種を販売していますので、その販売割合も考慮したCO2平均排出量の目標値がメーカーに課せられるわけです。
というわけで、ちょっと例をあげて見てみましょう。


仮定として、A社が販売するのは3車種のみとし、以下の車重とCO2排出量であるものとします。
  • スポーツタイプ(ガソリン)・・・車重1100kg、CO2排出量180g/km、販売シェア25%
  • ハッチバック(ガソリン)・・・車重1372kg、CO2排出量130g/km、販売シェア50%
  • ワゴン(クリーンディーゼル)・・・車重1800kg、CO2排出量120g/km、販売シェア25%

この状態でメーカーに課されるCO2平均排出目標値は、131.75g/kmとなります。
計算式は、(117.5×0.25)+(130×0.5)+(149.5×0.25)です。(・・・括弧は不要ですが見易くするため記載。)

コレに対して、このメーカーのCO2平均排出量は、同様の計算により140g/kmです。
この状態ですと8.25g/kmの違反となり、課徴金の対象となってしまいます。

その課徴金は1g/km当たり95ユーロとなっていますが、2018年までは軽減措置があるのでこの場合、販売台数1台当たり544ユーロ(約76,000円)の課徴金を支払わなければなりません。
ちなみに軽減措置がなくなる2019年以降は、販売台数1台当たり784ユーロ(約11万円)の課徴金となってしまいます。

そこで、A社は考えました。
そ~だ!ハイブリッドを出そう!!と。


で、これが出来ました。
  • クロスオーバーSUV(ガソリンPHV)・・・車重1372kg、CO2排出量45g/km、販売シェア20%
この販売シェアを、先ほどのスポーツカーとワゴンから5%ずつ、ハッチバックから10%シェアを奪って売るよう、ディーラーに頑張らせます(笑)

で、このPHV、実はエミッション規制の切り札なんです。

それは、50g/km以下の車両は、カウントが増される仕組みになっているのです。
2015年の場合は1.5台分が加算されるようです。

なのでそれを勘案すると、CO2平均排出量の算定における構成比率は以下のようになります。
  • スポーツタイプ(ガソリン)・・・車重1100kg、CO2排出量180g/km、構成比率17.5%
  • ハッチバック(ガソリン)・・・車重1372kg、CO2排出量130g/km、構成比率35%
  • ワゴン(クリーンディーゼル)・・・車重1800kg、CO2排出量120g/km、構成比率17.5%
  • クロスオーバーSUV(ガソリンPHV)・・・車重1372kg、CO2排出量45g/km、構成比率30%

で、これを基に計算すると、このメーカーの目標値は131.2g/km、平均排出量は111.5g/kmとなり見事クリアできるわけです。

これを見ても分かるように、欧州車が相次いでCO2排出量が50g/kmを切るようなPHVを一生懸命開発しているのは、この加算措置があるからなんですね~。
なんだかレポート的な感じになってしまいましたが、日本語のサイトであまり具体的に計算しているものが見当たらなかったので、仮定を適当に設定し、適当に計算して、適当にまとめてみました~。

間違えてしまってたら、そっと優しく教えてくださいねw


んでは!





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