3シーズン目に入ってから色々気付いたことを、防備もかねてちょっと書いてみたいと思います。
まず、おさらいですが。
現在のアウディ縦置きエンジンの各車種(A4,A5,A6,A7,A8,Q5,Q7とそれらのS/RSモデル)におけるクワトロ(メカ・クワトロ)の仕組みは、ご覧の通りで。
こちら、デフォルトで前後40:60のトルク配分を、前後輪のトラクションに応じて前後60:40から20:80に可変するものです(モデルによっては可変域が70:30から15:85、たしかA6@4Gがこれ)。
前輪が滑れば後輪にトルクが振られ、後輪が滑れば前輪にトルクが振られるわけですが。
これ、上記の通りすべてメカ仕掛け(電子制御なし)で行われているもの。
ここにアウディ クワトロの真骨頂が見えるわけです。
で、どんな機構になっているかと言いますと、
こんな感じで遊星ギヤ(プラネタリーギヤ)のメカニズムを利用しているんですが。
具体的に書きましょう。
真ん中に入っている2組のサンギヤが前後輪にトルクを伝えるディファレンシャルになり、それぞれのサンギヤを取り囲むようにプラネタリーギヤが配置されています。
このプラネタリーギヤはヘリカルギヤが使用されており、その機構上発生するサイドスラスト(軸方向に逃げる力)を利用し、フリクションディスクを介してディファレンシャルハウジングに押し当てることにより、差動制限(LSD)効果を発生させています。
なお、前後トルク配分のデフォルト値(40:60)は、サンギヤの直径の比率で決まります。
この機構を採用したことにより、それまで(B7以前)のクワトロよりも、応答性が高く、小型化・軽量化が可能になったとのことです。
(出展:秘伝の書)
まあ、要するにこんな動きなわけなんですよね。
で、理屈・理論はこの辺にして。
先日実際に体験したことから感じたことを書いてみたいと思います。
実は先日、雪国のこちらもようやく本格的な雪が降りました。
しかしながら、気温が高めであり、元々日本海側ならではの重たい雪(湿った雪)がさらに重たい感じで積もりまして。
さらにさらにで、私の住む沿岸地域は予算の関係か何なのかわかりませんが、雪の降りはじめは除雪の出動がやたら遅く(苦笑)
そんなこんなで、ドカッと降った重たい雪が、除雪されずに路上で放置プレイも甚だしい状態になったわけです。
しかもその日は、半年に一度の大学病院に通院の日で、距離にして80kmほど一般道で行く必要があったんですよね。
ってなわけで、除雪なき荒れた雪道を走行したわけですが。
ま~、クワトロの強いことったら(嬉)
概ね10~20cmほどの轍ができている中、レーンチェンジや追い越しでビクともしないこの強さ。
周りは四苦八苦していましたが、こちらは全然余裕過ぎなくらい余裕しゃくしゃくと走れるわけで。
また、(周囲の安全を確認したうえでですが)速度もそれなりに出してみたものの、全然滑る兆候を見せずに進んでくれましたし。
滑り出したらどれも一緒っていうけど、クワトロはその滑るまでのマージンがやたらでかい気がします。
なお、雪道に有利なのはクワトロばかりでなく、2.0TFSIエンジンやSトロニックもあるからなんでしょうね。
エンジンはトルクフルでしかも低回転から出ますし、Sトロニックは応答性がいい上にエンジンブレーキもしっかり効くため減速や停車時も有利ですし。
ちなみに、アウディのクワトロでもちょっと種類が違うのがあって、それはエンジン横置きタイプの面々なんですが。
車種でいえばA1,A3,Q3,TTとそのS/RSモデルですね。
エンジン横置きタイプのクワトロは、デフォルトで前後95:5のトルク配分ですから基本的には前輪駆動であり、そこから可変的に最大で前後50:50までトルク配分を変化させることができます。
で、雪道に関していえば、横置きエンジンのこれらよりも縦置きエンジンのA4等の方が分があると思います。
と言うのは、やはりデフォルトのトルク配分、これが雪道で大きく差が出ると思うんですよね。
特にその差が出るのは、轍が深い場合のレーンチェンジでしょう。
轍を超える際に生ずるトラクションの変化には、やはり前後輪のトルク配分がデフォルトで相応になっていた方が有利でしょうから。
また、発進時や後退時なんかも同じことが言えますね。
特に、こんもり雪が積もった駐車場での発進時や、路肩に停車する際に除雪されていない所に突っ込んだりそこから出たりする際の後退時は、前後輪にトルクが相応にかかっていた方がいなしやすいでしょうから。
と、ここまでべた褒めみたいな感じで書いてしまいましたが。
そんなクワトロでも、ちょっとした癖があります。
それは、雪道でのコーナリングですね。
ここに、ちょっと癖があるんですよ。
どういう癖かというと、進入時はアンダーステア気味ですが、中盤から出口にかけてオーバーステアになりやすいんですよね。
これ、先述したクワトロの仕組みがそのまんま素直に現れている気がします。
というわけで、コーナーやカーブではスローインが基本になるわけです。
で、その後の状況に応じてアクセルを踏んでやると、それによっても車の挙動をコントロール出来たりもするわけです(非推奨)
ただこれはあくまで、「A」モデルでの話です。
SモデルやRSモデルなどには、後輪の左右にさらにトルクを割振るリアスポーツディファレンシャルが搭載されるので、これとはちょっと違う挙動かも知れません。
まあ、仕組み的に考えれば、コーナリング進入時は多少アンダーが出るんでしょうけど。
そんなこんなで、アウディのクワトロってやっぱ雪道で強いな~って思うわけですが。
その一方で、メルセデスベンツの4MATICやBMWのxDriveも気になるんですよね。
ただし、エンジン縦置きタイプに限りますけどね。横置きタイプは制御の違いはあれ、機構はどれも同じはずですから。
ちなみに、クワトロが完全機械仕掛け(電子制御なし)なのに対し、4MATICもxDriveもトランスファー内にある多板クラッチを電子制御によってコントロールし、前後輪にトルクを割り振っています。
特に気になるのは、xDriveの方ですね。
デフォルトのトルク配分が前後40:60でクワトロと変わらないながら、可変域が前後50:50から0:100と、あくまでFRベースなセッティングですし、それでいて重量配分50:50をきっちり守っているようですし。
フロント重めのアウディ(重量配分55:45@B8)がトルクもフロント寄りに置くのに対し、重量配分50:50とあくまで「FR屋」を貫こうとするBMWのトルク配分のセッティングの差が、体感的にどうなのかってすごく気になるんですよね。
4MATICも興味はありますが、それ以上に走りにこだわっているBMWがどうなのか、すっごく気になるわけで。
とか言いつつ、こんな動画見るとやっぱクワトロかな~って思ってみたりみなかったり。
まあ、下の動画はなんかちょっと怪しい感じですが。。
上の動画と合わせて見ても、雪道におけるクワトロのライントレース性能は秀逸なのかもって思えるわけです(特にスラローム系のシーンで)。
そんなこんなで、私はやっぱり4WD好きなんだな~って、この記事を書いていて改めて気付いたわけですw
色々書きましたが、くれぐれも雪道等の運転にはご注意くださいませ。
んでは!
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