2021-05-13

【追記あり】続々・個人売買で軽自動車を売ってみた ~売買契約書やら準備書類やら~

【初稿@2017/08/13 12:13】
さて、そんなこんなでシリーズ化したのかしないのか、通算3回目にして最終回な個人売買記録。
最終回の今回は、自動車を個人売買するにあたり、トラブルを避けるための契約書の書き方やその他準備書類なんかを書いてみようと思います。



◆契約書の書き方 

契約書は、こちらのWEBサイトからひな型を頂きました。
Beste Derさんの投稿 2017年8月11日


これはあくまでひな形ですので、これに今回の契約に沿った形の内容に加筆修正します。
私が加筆修正したのは、
  • 売買代金(第2条)の内訳欄にリサイクル預託金を明記。
  • 第4条に2項を追加し、登録手続きに関して記載。今回の場合、買主の責任で名義変更手続き(税関係も含む)を行うことを明記した。
  • 瑕疵担保責任※(第7条)は生じず、売主は一切の責任を負わないこととした。
  • 反社会的勢力の排除(いわゆる暴排条項)を追加した。これについては、適当にググって拾ってきたひな型を使い回したが、それに当たり本件自動車を反社会的勢力に使わせてはならないという項を追加した。
  • 特記事項として、『本件自動車の状態及び売買条件等に関し、本契約書に記載のないものは別紙「ヤフオク商品ページ」に記載された内容を適用するものとする。』として、ヤフオクの商品ページをプリントアウトしたものを契約書と一緒に綴じた。
とまあ、こんなところです。

ちなみに※印の「瑕疵担保責任」とは民法に定められているもので、売買契約を締結して物を引き渡してからも、売主が元々あった欠陥や不具合に対して一定の責任を負うというもので、売主に悪意がないどころか入念に調べても分からなかったものまで責任を負うという、売主にとっては恐怖でしかない条文です。
耐久消費財であり機械でもある自動車で、しかも個人売買で瑕疵担保責任を負担することにすると、売ってから出たはずの不具合にまで影響が及びかねず、お互いに立証が難しくなることから泥沼化しがちですので、最初から瑕疵担保責任はなしということで話を進めた方がいいと思います。
瑕疵担保責任はあくまでプロ向け(一般的には「保証」名目が多い)ですが、これを知らずに何も書かないと民法が適用されて瑕疵担保責任を負う羽目になりかねないので注意が必要です。

なお、民法に書かれている瑕疵担保責任は、買主が隠れた瑕疵(一般的な注意を払っても気付くことができない元々存在していた隠れた不具合)を発見してから1年以内に修補請求や損害賠償請求、はたまた一定の要件で契約解除も出来ると定められています。
この『発見してから』について、いつまでといった期限は特段明記されていませんが、債権の消滅時効により10年間は有効と解されています。
つまり、契約書に瑕疵担保責任の取決めを何も書かないと、10年間、いつ瑕疵担保責任を追及されるとも限らない状況に置かれるわけです。

【追記@2021/05/13 6:24】
民法改正に伴い、これまで「瑕疵担保責任」だったものが『契約不適合責任』に改められました

これは、売買の対象となるもの(本記事の場合は中古自動車)が、契約の目的や内容に照らして適合しない状態について、売主が一定の責任を負うというものです。
もっと簡単に言うと、契約時に明示して売主が認識しなかった不具合などについては、売主が修理して適合する状態にしたり(修補責任)、売主から買主に対して金銭的な解決したり(損害賠償)、最悪の場合には買主は契約を解除したりできるということになります。

対策としては、売買契約締結までにきちんと車両の状態を調べて、通常の使用における不具合のほか、軽微な不具合(あるボタンの押し心地が他よりも悪い等)や小傷などのちょっとしたことでもきちんと明記しておくことです。
その上で、例えばヤフオクで出品する場合にはきちんとそれを明記し、下に書いた通り当該出品ページをプリントアウトしたものを契約書に綴じ込み、その内容も含めて了承したという形の契約条文を入れることが肝要です。
また、体裁ばかりでなく、契約締結時にも改めてその内容を説明し、納得して契約書に署名・捺印いただくことも大事なことですね。

なお、契約不適合責任は瑕疵担保責任と違って、免責とすることはできないようです。

いずれにしても、これまでの瑕疵担保責任に比べると、より現実的な取引形態になったと言えます。
いい加減なやり方で売っておきながら瑕疵担保責任を免責にすれば逃げ得になるといったことが抑制できますので、買主にメリットがあるばかりでなく、売り手側も適正な価格で売ることが期待できる(中古車契約に対する不信感を値引き材料にされない…いわゆる情報の非対称性問題がなくなる)からです。

・・・と。
ちょっと専門的になりすぎましたねm(_ _)m

話しを戻しまして。

ヤフオクで出している場合、そちらに商品の状態や取引条件が明示されているので、そのページもプリントアウトして付けることでトラブルを防ぐ率は上がると思います。
きちんと物証として取引条件が明示されているヤフオクの商品ページを添付して契約書の一部を構成させることで、お互いに安心でもありフェアでもありとなるわけです。
また、ヤフオクに掲載した写真も、同様にプリントアウトして添付ておくべきでしょう。

これらの準備が整ったら、事前に買主さんにもメールして確認してもらいます。
このとき、改ざんを防ぐためにもワードなどでは送らず、「案」と記したものを文字が読み取れる程度の解像度でスキャンして、その画像で確認してもらうといいと思います。



◆契約書の捺印と印紙について 

契約書の作成が終わり、内容について買主の内諾を得たら、本通2通を作成します。

これについて、「契印」のことを考えるとホチキス+製本テープを使った方がいいです。
Beste Derさんの投稿 2017年8月11日

というのは、契約書は個別のページにつながりを持たせるために「契印」が必要とされるのですが、単なるホチキス止めだけだと全部のページの綴じている箇所に契印を捺印しなければならず、非常に手間です。
この点、製本テープを使えば、製本テープと表紙と裏表紙のそれぞれの境目に捺印することで契印とすることができます。
ちなみに上のリンク先は裏表紙しか契印していないもののそれはそれで契印として有効ですが、より確実性を持たせるためにも表紙と裏表紙の両方にやる方がいいようです。

それ以外の捺印箇所は、署名する箇所のみとなります。
なお、個人売買の場合は記名(印字されたものやゴム判)ではなく、必ず自署による署名とすべきです。
弁護士さんから実際に教えて頂いたのですが、署名の筆跡も法的証拠になるため、特に個人で三文判(認印)を用いた契約の場合には自署による署名とすべきのようです。
ちなみに、記名とするのであれば実印+印鑑証明まで求めるべきとされましたが、それだと少し仰々しいので、やはり自署による署名+三文判(認め印)が現実的でしょうね。

契約書への捺印箇所と言えば、署名箇所と契印のほかに、印紙の割印が一般的ですが。
どうやら、単に自動車を売買するだけの場合、契約書は不課税文書扱い、つまり印紙の貼付&割印は不要とされるようです。
なお、整備をした上で売る場合には請負契約的要素も含まれるため課税文書(印紙の貼付&割印が必要)になるようですが、現状有姿で自動車を売買するだけの場合には先述の通り不課税文書となり印紙の貼付&割印は不要とのことです。



◆その他必要書類について 

私が行った取引は現金手渡しを希望されたので、領収書も準備していきました。
これについては相手のお名前を明記し、但し書にも「自動車売買代金及びリサイクル預託金として」との記載を入れたうえで、買主さんにお渡ししました。

それ以外としては、当日お渡しする書類を漏れなきようにまとめておきます。
  • 車検証
  • 自賠責の証書
  • 自動車税の納税証明書
  • リサイクル券
  • 整備記録の書類(整備記録簿など)
先日も書きましたが、整備記録簿などに記載されている個人情報は、油性マジックで裏表塗り潰しするなどして必要以上に残さないようにしておきます。
少し神経質かもしれませんが、必要以上に個人情報を残していいことは一つもないくらいの認識でいた方がいいです。

さらに必要な書類として、名義変更手続き用の書類が上げられます。
その辺は予め入手して売主が書くべきところを書いて、契約締結&引渡し時に一緒に渡すと後々の郵送によるやり取り等が省けて楽です。
なお、名変手続きに関して必要な書類や入手方法等は、以下のWEBサイトに詳しく載っています。
Beste Derさんの投稿 2017年8月11日


Beste Derさんの投稿 2017年8月11日



といったところで、個人売買で軽自動車を売ってみたシリーズを閉幕します。
最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m


んでは!





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