Pages


2015-03-01

2020年代の主流はマイルドハイブリッド(48Vシステム)になるのかも。

昨日、こちらがポストに入っていました。
日経Automotive、隔月から月刊誌になったようで。




このイラストからも分かるとおり、自動車を取巻く環境の構造変化がたくさん起こってきている(=ネタがある)ってことなんでしょう。
現代においては、多種多様なパワーソース・ドライブトレインの台頭、安全意識の高まりから来る自動運転化の機運、ビッグデータや人工知能などのIT分野との連携、エネルギーや環境問題などの様々な要因が、自動車を取巻く環境の構造を時々刻々と変化させているように感じます。

さて、そうなると気になるのが「この先どうなるの?」ってこと。
そんなこんなで、近未来のクルマについて考えてみたいと思います。



もっとも、超長期である2030~2050年くらいの予測は、要因の関連が複雑すぎて(特に政治や経済動向も関るので)、まあ置いておくにしましょう。

問題は、目先である2020年頃。
そう、ヨーロッパのエミッション規制で、CO2平均排出量を95g/kmとしなければならない年でもあります。

たぶんその頃もきっと色々あって、やれ水素だのやれ○○だのってなっているのでしょうが、私のような庶民の関心事は、手が届くもので使い勝手が悪くないものっていったいどれなんだ?ってことなわけで。
簡単にまとめてしまえば、デファクトスタンダードはどこに収斂するのさ@2020年頃ってことなんです。

そう考えると、小型車にも搭載可能でコストもかなり抑えられる48Vマイルドハイブリッドシステム(定格)が最右翼に思うわけです。
で、この48Vマイルドハイブリッドシステムの先駆け的な存在が、ドイツのシェフラー社。

同社が昨年来日した際の記事によれば、
48Vマイルドハイブリッドシステムは、電源電圧を48Vに引き上げたスターターモーター兼発電機やリチウムイオン電池パック、12Vへの降圧が可能なDC-DCコンバータなどを組み合わせたもので、スターターモーター兼発電機を使った走行アシストやブレーキエネルギーの回生が可能だ。
トヨタ自動車などが展開しているフルハイブリッドシステムと比べて、通常の内燃機関車に追加搭載するのが容易なことを特徴としている。
さらにコストも、「フルハイブリッドシステムと比べて40~60%ほど削減できる」(グッツマー氏)という。
とのこと。

この48Vマイルドハイブリッドシステムは、A・Bセグメントの小型車にも搭載可能なのが特徴のようです。
また、フルハイブリッドである定格60Vシステムほどの保安措置(主に感電対策)を必要としないのも特徴なんだとか。

なお、同社がコンチネンタルと共同開発したフォード・フォーカスエステートベースのコンセプトカーは、48Vマイルドハイブリッドシステム等の採用により、CO2排出量を15%削減(115g/km → 97g/km)できたとのことです。
97g/kmというと、2020年のエミッション規制値であるCO2平均排出量95g/kmまであと少しということになります。
ちなみにベースとなったフォード・フォーカスはガソリン仕様で、1.0リットル3気筒エンジンを積んでいるものです。


エミッション規制は販売台数の加重平均から算出され、クリアできない場合にはオーバー分に応じた課徴金を販売台数に応じて課されてしまう仕組みです。

なので、販売台数が多い車種・グレードほどCO2排出量を抑える必要があるのですが、その対策にあまりにもコストがかかると、販売台数は反比例してしまうわけで。
そのような背景からすると、販売台数が多く価格も抑えられ、A・Bセグメントにも搭載可能な48Vマイルドハイブリッドシステムは、デファクトスタンダード足り得る素地が十分にあると考えられるのです。

そんな諸般の事情から察するに、このコンセプトカーのように、3気筒小排気量ガソリンエンジンにマイルドハイブリッドってのが主流になる気がしています。
イメージとしては、クリーンディーゼル並みの価格帯になるのではないのかな~って思っています。



なお、アウディは以前よりこの48Vシステムに積極的で、2016年に投入する事を目標にしているようです。
そこで気になったのが、次期A4(B9)のガソリンハイブリッド。

2016年発売という点で時期的にも合致していますし、鉄板A4でCO2排出量の少なさと価格のバランスが取りやすいガソリンハイブリッドで、ある程度販売台数を多くしてエミッション規制を優位にしておきたいという戦略もあるのではないか?なんて勝手な深読みをしてみたり。

また、プラグインハイブリッド+クリーンディーゼルであるe-tronと差別化を図るのであれば、ガソリンハイブリッドをマイルドハイブリッド程度に留めておいた方が、マーケティング的にもやりやすいかなと。

ガソリンハイブリッドがあまりにも実燃費で恩恵があると、e-tronがかすれちゃいますからね。
ガソリンハイブリッドはあくまでエミッション規制に対する戦略車に留め、実際の訴求で本腰を入れたいのはe-tronではないかな~なんてのも、思惑としてあるように勘繰っております。


そうそう、アウディで48Vなシステムの元祖は、そういえばコイツでしたね。
ビターボ(ツインターボ)+電動ターボなRS5 TDIコンセプト。

排気を使ってタービンを回して過給するターボチャージャーの弱点であるターボラグを、電動式の小さなコンプレッサーを使って補うというシステムで、48V給電システムが用いられています。

その立ち上がりに要する時間は、僅か0.25秒とのことですし、何よりこれだけエンジンルームがパツパツでも48Vならではの小型化の恩恵でトリプルターボが可能なわけで。


このように48Vシステムは、小型化が可能でコストも抑制することができるために色々な用途が考えられ、2020年頃の台風の目となり得るシステムのように予感しております。
かつての欧州車の直噴旋風がそれだったように、結局また欧州勢に圧倒されるんでしょうね。

というわけで、ついでに2020年にヨーロッパ車の販売シェア(乗用車の新車登録占有率)は20~30%になるとも予測しておきましょう。
最近のヨーロッパ車はあんま壊れませんし、コストダウンしている国産(特に先日社長が交代した凋落気味のH社)の方がリコールラッシュに追われている気がしますので。


んでは!





2 件のコメント :

  1. 島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑の原理をついに解明。名称はCCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象にかかわる広い説明が可能で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後潤滑油の開発指針となってゆくことも期待されている。(48Vコンパクトエンジンに朗報)

    返信削除
    返信
    1. クルマは油脂類があちこちに使われていますから、そういった研究成果がまた新しい技術革新への道筋になるんでしょうね。
      そうなると、内燃機関もさらに軽量コンパクト化・低フリクション化ができて、48Vシステムも相まってまだまだ環境親和性を高められそうに思えます。
      専門的な内容を分かり易く教えて頂き、ありがとうございましたm(_ _)m

      削除